2007年1月、40代半ばにゼロからトランペットと音楽をやり直し


by YTR3320
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祈る姿

20代の半ばから30代の初めまで色々な国を訪れた。珍しい風景、印象深い光景にも出会った。それらの中で、最も忘れ難い光景は、サウジアラビアの土漠で見た祈る姿とルーマニアのブカレストで見た祈る姿だ。

サウジアラビア、紅海沿いの道路脇の土漠に大型トラック、多分10トン車かそれより大型のトラックが止まっていた。その脇で運転手が小さな絨毯を敷いてメッカの方を向いて祈っていた。日没前だった。美しいと思った。1987年か1988年のこと。季節は覚えていない。

ルーマニアのブカレストを訪れたのは、1991年の10月。実際には1989年12月にあったのチャウシェスク政権崩壊の際の激しい銃撃戦が、つい数ヶ月前のことかと思うほど、中心部には生々しい傷跡が残されていた。市の中心部の広場の芝生には、木の板で作られた十字架が立ち並び、花が捧げられていた。銃弾で壁が崩れかけた建物もあった。エネルギーは不足し、暖房の入っていない博物館は、私と同行者がいる部屋だけ、部屋の隅にいる係員によって電気がつけられ、私たちが部屋を出ると係員は電気を消してじっと次の客を待っていた。中央駅には浮浪児がたむろしていた。チャウシェスクの子どもたちと言う言葉を知ったのは、この頃だ。

そんなブカレストの旧市街唯一の目抜き通りを歩いていた時、ふと右の路地に視線が向いた。教会が見えた。正教の教会だ。カトリックやプロテスタントの教会と異なり大きなガラス窓は無い。教会の内部は薄暗く、顔以外を金属板で覆われたイコンが何枚も飾ってあった。入口の外には、燈明ぐらいの小さなろうそくが何本も何本も灯っていた。その一本に向かって若い女性が静かに祈りを捧げていた。
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by YTR3320 | 2009-04-08 22:46 | 外国