2007年1月、40代半ばにゼロからトランペットと音楽をやり直し


by YTR3320
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カテゴリ:経済・法務・会計・税務( 6 )

『ゼロから学ぶ経済政策』(飯田泰之、角川Oneテーマ新書、2010年)を読んだ。とても面白い本だった。僕が共感したり、興味を覚えた点の多くは、極東ブログが書評にまとめている。例えば、以下の点だ。

http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/11/post-b232.html
要点を単純に言えば、国民の幸福を考える上で目をそらしてはいけないのは、一人当たりの国内総生産(GDP)ということだ。その上に成長戦略が位置づけられ、さらにそれだけではない他の側面で、他の経済政策が位置づけられていくことになる。
 余談めくが、民主党は一時期独自の幸福指数を考案したいと主張していたものだった。それらが馬鹿げた空想として再燃することがあれば、本書のこの部分の考察はきちんとした消火器の役割をするだろう。
経済成長には、「資本(経済学的な意味で)」「労働力」「技術」の要素があるが、重要なのは「技術」である。技術といってもIT技術というような個別の技術より、付加価値の知的・プロセス的な源泉と言い換えてもよいだろう。


本書の誤植については、飯田氏のブログとそのコメント欄に載っている。http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20101105
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by YTR3320 | 2011-01-04 22:04 | 経済・法務・会計・税務
 土地取引における土壌汚染をめぐる2010年6月の最高裁判決に関する記事「土壌汚染 高まるリスク」(田中浩司、日本経済新聞、2010年11月22日)は、こう解説する。
ただ最高裁判決で注目すべきなのは「取引観念」という言葉を用いて、土対法の定める有害物質にだけ注意しても不十分と示唆した点だ。法律の規制がなくても、取引観念上、有害だと認識されていれば瑕疵となり得ると読める。
取引観念をどう理解すればよいのか。土壌汚染の案件ではないが、シックハウス症候群にかかったマンション購入者が、売り主の開発業者に対し瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた裁判で、東京地裁が買い主の主張を認めた例がある。引き渡し時に法的規制はなかったが、当時の厚生省指針があり、それを超えるホルムアルデヒドが検出され、瑕疵と認定された。

土壌汚染の問題に置き換えれば、売買契約時に法的規制の対象になっていなくても、官庁や自治体の指針などに盛り込まれていれば、売り主は将来の裁判で責任を問われかねないということになる。


 法律では無い、役所の定める施行細則、通達や指針が、実質的に法律と同等、あるいはそれ以上の力をますます持つと言うことか。歴史の古い上場企業は株主代表訴訟を嫌って、つまり取締役の自己防衛の為に法律では無い役所の指針に100%以上に沿おうとし、社内規則もリスクゼロの為に細かくし、取引先への付加価値に繋がらない社内作業を増やすのだろう。

一方で、役所の細則、通達や指針に従っていても、将来の裁判で責任を問われるリスクがある。

 2006年1月の過払い金に関する最高裁判決について「過払い金問題、国に重大責任2つ」(石川和男、霞ヶ関政策研究所代表、日経ビジネス2010.11.22)は、解説する。
それだけではない。「法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである」として、監督官庁の手による施行規則も否定されたのである。結果、規則に基づいて書面を発行していた貸金業者の行動も否定される形になった。

ここで指摘したいのは、貸金業者は違法、脱法行為に手を染めていたわけではないということだ。貸金業者、行政の定めた規則に基づきながらグレーゾーン金利での与信事業を行っていたのである。順守してきた行政による規則が裁判所に否定されたことにより、それまでのすべての利息制限法超過金利分が”過払い金”として債務者に返還すべきものだとされるようになったわけだ。


 指針に従ってもリスク回避は出来ない。従わなくても(気が付かない場合もあろう)リスク。日本での企業活動は、この2つのリスクの中で行なわなければならない。リスク回避的であろうとすれば、身を縮めて「絶対大丈夫なこと」以外は、行なわないに限る。しかし、それでもリスク回避出来ないのだから、実務担当者のモチベーションを蝕んでいく。
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by YTR3320 | 2010-11-28 19:45 | 経済・法務・会計・税務
「リーガルクエスト 会社法」(伊藤靖史、大杉謙一、田中亘、松井秀征、有斐閣、2009年)を仕事の隙間時間に読んでいる。「ビジネス法務の部屋」で知ったのかな。とても良い本だ。

逐条解説ではなく、実務の流れに沿った編集で、具体的なケースを想定した解説もあるので解りやすい。索引も充実していて、僕のような法務の専門家では無いけれど、投資先の管理や運営の実務に携わっている人間のちょっとした疑問の解決、法務部や法律事務所に相談する前の下調べに重宝しそうだ。2,940円という値段はお得だ。
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by YTR3320 | 2009-11-25 07:47 | 経済・法務・会計・税務
「上村教授が語る公開会社法(1)」(とも弁護士の備忘録)
で雑誌「企業会計」12月号(中央経済社)の上村達男早稲田大学教授と中村直人弁護士の「公開会社法とは何か」という対談記事を知った。

とも弁護士の備忘録で引用されている部分が非常に興味深かったので、全文を読みたくて、「企業会計」12月号を買った。僕は、法務の専門家では無い。単に20代の終わりから、合弁会社の少数株主としてのモニタリングやら増資の引受・払い込みやら、いくつかの会社の株主業務を担当してきて証券取引法、商法、会社法などの関連部分をつまみぐいしただけだ。それでも、この対談記事は非常に面白く、深く、2,500円を投じた甲斐は充分あった。

特に「IV株主利益の最大化ではなく企業のミッションの最大化」の中の「会社の目的とは」「『カンパニー』と営利性」、V個人投資家の促進による市民社会化、「VI市場への警戒-デモクラシーの規律-」の中の「市場経済に対抗するデモクラシー」「小泉改革における法的感覚の欠如」がとても面白かった。会社を公開するということは、単に上場して資金を集めるあるいは上場して創業者が投資を回収するという意味に受け取られがちだけれど、「公開会社」は欧州市民社会においてPublic=公に開かれている存在であるという主張だと理解し、会社法があるのになぜ、「公開会社法」なるものが必要なのかという疑問が解けた。

他にも株主は会社の所有者ではなく、<会社との投資契約、つまり私はこれだけ払うからこれこれの事業をして、利益があったら配当するという契約ですね。株主はそうした契約の一方当事者であって、>(「企業会計」2009 Vol.61 No.12, p.54)という主張は、とても腑に落ちる。実務を行っていると、株主はよほど大きな議決権割合を有していない限りは、所有者と云うには極めて限定的な権利も義務も負っていないことを強く感じる。

この対談記事は第1回ということなので、第2回以降の記事がとても楽しみだ。
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by YTR3320 | 2009-11-08 07:16 | 経済・法務・会計/税務

新旧勘定分離

今朝の日経新聞に日航の再建に新旧勘定分離を使うことも検討されているとの記事が載っていた。僕は、担当案件で実際に新旧勘定分離まで行なったことは無いけれど、ちょこっと検討はしたことがある。企業再建の為には多くの場合、財務リストラが必要で新旧勘定分離はその有効な手段だ。しかし、どの債権と見合いの債務を旧勘定に入れ、何を新勘定に残すのかの基準設定、分けきれない勘定の扱いで利害関係者間で壮絶な交渉、駆け引きがありそうだ。加えて、旧勘定の税務上の扱いについて当局との折衝も必要だろう。

新旧勘定分離を実行するにせよしないにせよ、日航の関係者、当時者の実務レベルの方々に今後かかるロードの重さは察するに余りある。少しでもそれらの方々の苦労の報われる着地になることを。
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by YTR3320 | 2009-09-22 16:51 | 経済・法務・会計・税務
昨日、シノドスと日経ビジネスオンラインの共催によるセミナー「速習!学びなおしの経済学」(講師:飯田泰之氏)を受講した。

100人の受講者枠は募集開始後、数日で埋まったそうで、所用の為已む無く会場を途中で抜けて戻ったら、危うく立ち見になりそうだった。

経済学は「現実を単純化・状況を特定し、モデルとして論理的に汲み上げ、そのモデルの妥当性を検証すると言うサイクルを繰り返すことで現実に対する説明力・予想力の高いモデルを探すことである。経済学はLogical Thinking Toolである。言い換えると近代的な社会科学の作法である。」と言う冒頭の説明に成るほどと思った。
他に比較優位説、非自発的失業率とインフレ・デフレの関係を表すフィリップス曲線、為替レートについての短期・中期理論(金利率の差)と長期理論(購買力平価説)などについて頭の整理が出来た。代替効果と所得効果については、本を読んで勉強し直してみよう。大事な

以下は、講師の飯田泰之氏のブログから。
<少なからぬ人は経済成長というと量的な拡大ばかり想起してしまうようです.例えば鉄鋼生産が倍になるとか自動車生産台数がX%伸びるとかそういうの.この種の成長余地は先進国内では少ない.同じような商品を大量生産してもうける……なんてビジネスモデルは先進国ではすでに30年前におわっています.

 経済成長=付加価値生産の拡大であることを忘れてはいけません.先進国の経済成長は「給料が2倍になって米を2倍食うようになる」という成長ではない.「マクドナルドではなく自然食レストランでランチを食べるようになる」「パイプ椅子じゃなくてディーティカなりなんなりの椅子に座るようになる」……あくまで質の向上です.パイプ椅子から腰痛にいい椅子に変えた,PCの利便性が上がったことによって石油消費が増えたりCO2が排出されたりしません.また,いままでより少ないエネルギーで同じ商品を生産できるようになると(同じ価格で売れるなら)付加価値部分が大きくなって付加価値は成長(つまりは経済成長)します.><人口はあまり関係がありません.本書で繰り返し言及する2%成長は「一人当たりGDP」の2%成長の話です.>
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/?of=7(「こら!たまには研究しろ!!」2009年8月12日付)

シノドスはこちら
http://kazuyaserizawa.com/
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by YTR3320 | 2009-09-07 17:36 | 経済・法務・会計・税務