2007年1月、40代半ばにゼロからトランペットと音楽をやり直し


by YTR3320
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『挑戦するピアニストー独学の流儀』金子一朗、春秋社、2009年

この本は、ピアノの演奏技術、学習方法についての本だ。
ピアノは和音が出せて、メロディーと伴奏を左右の手で引き分けることができる。一方、トランペットは倍音は鳴るものの、基本的には単音しか出せない。ピアノは鍵盤を通じて弦を弾き、それをピアノの筐体を利用して増幅し響かせる。トランペットは、上半身を通って唇の間を流れる空気の振動をトランペットの管でで少々増幅しているだけで、身体こそが楽器だ。
ピアノとトランペットでは楽譜も違えば、演奏に必要な技術も違う。

けれど、音大には行かず、常勤の職を持ちながら、コンクールで優勝し本職の合間にステージもこなす著者が、社会人の限られた時間の中での学習方法、曲への取り組みを解説したという点に、常勤の職を持っている社会人として限られた時間でのトランペットの学習方法の為のヒントが一つでも得られるのでは無いかと期待して、この本を読んでみた。

正直に言って、著者の中学生、高校生の頃までが書かれた冒頭の10ページほどを読んで投げだそうかと思った。著者は幼少の時から浴びるように音楽を聴き、ピアノを練習し、先生について習っていた。子ども向けの何枚かのレコード、SONYの初期のトランジスタラジオから流れるFENのポップス、高校生になって初めて何枚かレコードを買ってみた他は年に1回の学校内の合唱祭へのクラス参加程度しか音楽体験の無かった僕とは余りに、音楽体験の広さも深さも違う。これだけの音楽体験が無いと楽器を演奏することを楽しんだり、自分の演奏を聴いてくれる友達に楽しんで貰えないのかと、ハードルの高さにめげそうになった。

それでも、第II章曲を仕上げる手順3演奏機会を得る、4楽譜を読んで分析する を読んでいる内に、面白くなってきた。アーバンのデュエット曲の練習でさえ、単に楽譜の音を追っているだけでは吹けない、音楽にはならないということは、レッスンで感じることだ。
<楽譜を読んで分析する、これは、言い換えれば、自分で感じて、感動していることの理由を哲学的に考えることと同じである。><演奏者は、その感動を具体的なものにして聴き手に伝えないければならない。>P.57

<まず、全体がどういう形式であるかを調べる。><次に調整を調べる。><調が決まると、使われる音は限定される。>などなどの分析手法は、アーバンなどのクラシック曲は金管アンサンブルを練習するときには役立ちそうだ。

<最終的には、レッスンに行く目的は、自分の楽曲解釈能力を高めることに集約されていく。作品のことを熟知していなければ、優れた演奏はできない。どんなに技術があったとしても、芸術はスポーツではないからである。><分析、練習、録音、レッスンを繰り返していくことで確実の作品を表現する力は身に付いてくる。>P.80 ふむふむ。僕は、技術の入門段階だけれど、目指すべき山の頂の一つはこれかな。とても遠いけれど。

クラッシックのピアノ作品を1.メロディーと伴奏型、2.対位法型、3.和音型の3つに分類し、具体的な作品の譜面で説明する第III章曲のスタイルは3種類は、トランペットの学習に直接役立つと言うよりも、クラシック音楽の理解という点で判りやすく面白いものだった。バッハの凄さってこういう所なのだね。

また、第V章弾けないときの処方箋の1.テンポと拍子、4.勢いより和声、7.歌ってなぞる、8.メゾピアノは、フォルテ?ピアノ? は、アーバンの予習復習に役立ちそうだった。<強弱の決め方の大原則は、まず、曲中での頂点と最も沈潜した部分を見分け、そこの音量を決めて、他の部分の音量を相対的に決めていく方法である。>P.226

ピアノ特有の部分は読み飛ばしたし、言及されている曲も殆ど聴いたことが無いので、理解できたのはこの本のごく僅かの部分だと思う。それでも読み終えて、結構面白かった。時々読み返してみようと思う。トランペットのレッスンを通じて自分の音楽理解がどこまで進んできたのかを確認するためにも。
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by YTR3320 | 2009-12-23 11:20 | 読書